妙法蓮華経(法華経)
お釈迦様は、50年のお説法の中で、全部で8万4千という教えを残されました。
その中で、お亡くなりになる一番最後の8年間で説かれた教えが妙法蓮華経、通称「法華経」です。
私達の祖である日蓮大聖人は、この法華経こそが万民救済の教えであると確信され、生涯をかけてこの法華経の布教に邁進されたのです。
ここでは、この法華経という教えを少しずつ、分かりやすく解説していきます。
※写真は、柴又帝釈天題経寺の彫刻「法華経 見宝塔品第十一」
無量義経から法華経の世界へ
お釈迦様は法華経をお説きになられる前に、「無量義経」という教えを説かれます。
その中で、「法華経こそが万民救済の最上の教え」であることを語られます。
それが「四十余年未顕真実(しじゅうよねんみけんしんじつ)」の教えです。
「今までの四十数年の説法では、いまだ真実を顕していない」
最上の教え「法華経」を語られようとする、お釈迦様のまさに決意表明です。
ここから、法華経の世界へと導かれていきます・・・・・
妙法蓮華経序品第一
◆漢文(原文) ▲訓読よみ ◎現代語訳 ★そのころは?? ※注釈で解説していきます。
妙法蓮華経序品第一(みょうほうれんげきょう じょほんだいいち)
姚秦三蔵法師鳩摩羅什詔奉訳
①-17.18.19
◆漢文(原文)
爾時弥勒菩薩。作是念。今者世尊。現神変相。以何因縁。而有此瑞。今仏世尊。入于三昧。是不可思議。現希有事。当以問誰。誰能答者。復作此念。是文殊師利法王之子。已曾親近供養。過去無量諸仏。必応見此。希有之相。我今当問。
爾時比丘。比丘尼。優婆塞。優婆夷。及諸天龍鬼神等。咸作此念。是仏光明。神通之相。今当問誰。
爾時弥勒菩薩。欲自決疑。又観四衆。比丘。比丘尼。優婆塞。優婆夷。及諸天龍鬼神等。衆会之心。而問文殊師利言。以何因縁。而有此瑞。神通之相。放大光明。照于東方。万八千土。悉見彼仏。国界荘厳。
▲訓読よみ
そのときに弥勒菩薩この念なさく、『いま世尊、神変の相を現じたもう。何の因縁をもってこの瑞ある。いま仏世尊は三昧に入りたまえり。この不思議に希有の事を現ぜるを、まさにもって誰にか問うべき、誰かよく答えんものなる』またこの念を作さく、「『この文殊師利法王の子は、すでにかつて過去無量の諸仏に親近し供養せり。かならずこの希有の相を見るべし。我れいままさに問うべし。』
そのときに比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷およびもろもろの天、竜、鬼神等、ことごとくこの念を作さく、『この仏の光明神通の相を、いままさに誰にか問うべき。』
そのときに弥勒菩薩みずから疑いを決せんと欲し、また四衆の比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷およびもろもろの天、竜、鬼神等の衆会の心を観じて、文殊師利に問うて言わく、 「何の因縁をもってこの瑞神通の相あり、大光明を放ち東方万八千の土を照らしたもうに、ことごとく彼の仏の国界の荘厳を見る。」
①ー15.16
◆漢文(原文)
爾時仏放眉間白毫相光。照東方万八千世界。靡不周遍。下至阿鼻地獄。上至阿迦尼咤天。
於此世界。尽見彼土。六趣衆生。 又見彼土。現在諸仏。 及聞諸仏。所説経法。 并見彼諸比丘。比丘尼。優婆塞。優婆夷。諸修行得道者。 復見諸菩薩摩訶薩。種種因縁。種種信解。種種相貌。行菩薩道。 復見諸仏。般涅槃者。復見諸仏。般涅槃後。以仏舎利。起七宝塔。
▲訓読よみ
そのときに仏、眉間白毫相の光を放って、東方万八千の世界を照らしたもうに周徧せざることなし。下阿鼻地獄に至り、上阿迦尼咤天に至る。
此の世界に於いて、尽く彼の土の六趣の衆生を見、又彼の土の現在の諸仏を見、 及び諸仏の所説の経法を聞き、 並に彼の諸の比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷の諸の修行し得道する者を見、 復諸の菩薩摩訶薩の種々の因縁・種々の信解・種々の相貌あって菩薩の道を行ずるを見、 復諸仏の般涅槃したもう者を見、復諸仏般涅槃の後、仏舎利を以て七宝塔を起つるを見る。
①ー13.14
◆漢文(原文)
爾時世尊。四衆囲遶。供養恭敬。尊重讃歎。為諸菩薩説大乗経。名無量義。教菩薩法。仏所護念。仏説此経已。結跏趺坐。入於無量義処三昧。身心不動。
是時天雨曼陀羅華。摩訶曼陀羅華。曼殊沙華。摩訶曼殊沙華。而散仏上。及諸大衆。普仏世界。六種震動。
爾時会中比丘。比丘尼。優婆塞。優婆夷。天。竜。夜叉。乾闥婆。阿修羅。迦楼羅。緊那羅。摩・羅伽。人非人。及諸小王。転輪聖王。是諸大衆。得未曾有。歓喜合掌。一心観仏。
▲訓読よみ
爾の時に世尊、四衆に圍繞せられ、供養・恭敬・尊重・讃歎せられて、諸の菩薩の為に大乗経の無量義・教菩薩法・仏所護念と名くるを説きたもう。仏此の経を説き已って、結跏趺坐し無量義処三昧に入って身心動したまわず。
是の時に天より曼陀羅華・摩訶曼陀羅華・曼殊沙華・摩訶曼殊沙華を雨らして、仏の上及び諸の大衆に散じ、普仏世界六種に震動す。
爾の時に会中の比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷・天・龍・夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦楼羅・緊那羅・摩羅伽・人非人及び諸の小王・転輪聖王、是の諸の大衆未曽有なることを得て、歓喜し合掌して一心に仏を観たてまつる。